2010/10/26

神奈川のお雑煮 第1回 ~里芋と大根~

横浜からお雑煮のことを聞き始めました。

御殿場を目指して、西へ西へと進んで行きます。

聞き始めてすぐ、神奈川の雑煮は東京と違うことに気づきます。
漠然と、東京と神奈川は同じ文化圏で、お雑煮も一緒のような気がしていましたが、そんなことはありませんでした。

しょうゆ味の汁に角餅を焼いて入れるのは同じですが、微妙に具が違います。
当然、現在はバラエティに富んだ様々な具が入っていますが、東京のお雑煮に入っていることが多い具が「小松菜などの菜っ葉類」なのに対して、神奈川のお雑煮は「里芋と大根」が高い確率で入っています。

※東京で聞くお雑煮にも、里芋や、大根が入っていることは多々ありますが、その他の具のひとつのような気がします。

神奈川の人が具について語るとき、

「里芋と大根。・・あと、鶏肉、小松菜・・・」

みたいに、「里芋と大根」がまず始めにくることが多いです。

横浜では、里芋と大根に、青みとして小松菜などの菜っ葉類、赤みに人参、だしに鶏肉などを入れる人が比較的多くいますが、厚木市あたりからは、里芋と大根だけの人が、比較的多くなります。

厚木市が編纂した「厚木の民俗」を読むと、特にそれが顕著で、雑煮について答えていた明治生まれの方約20名のうち、1人をのぞきすべての人が、具に「里芋と大根」だけを挙げていました(1人の方は、「里芋、人参など」。)。

僕が聞いたお雑煮に関しても、厚木より西では、「里芋と大根」だけの比率が増します。
この辺りから田畑が広がり、生垣や塀で囲まれる、昔ながらの家が多くなります。
伊勢原市で、江戸時代からこの土地に住んでいると仰っていた大きな家の方は、やっぱり「里芋と大根」。
昔ながらの作り方は、大晦日に、3が日分の「里芋と大根」を水煮して用意しておくそうです。

田んぼが広がる、厚木と平塚の市境で、稲の刈り取り作業をしていた2人のおばあさんの話がとても印象的でした。

2人とも、子供の時から、里芋と大根を入れたしょうゆ味のお雑煮を食べています。

温和なおばあさん
「元旦だけは昔からの雑煮にするけど、2日からは、若い人たちが作る、鶏肉や小松菜も入ったお雑煮を食べているよ。」

威勢のいいおばあさん
「鶏肉?鶏肉なんて、やだね。ギラギラしちゃってさ。お雑煮は、さっぱりしてるもんさ。」


「でも、まぁ、仕方ないですよね・・・。」

威勢のいいおばあさん
「若いモンがやりたいように勝手にやってればいいさ。この辺りのお雑煮も、もうわたしらの代でおしまいだね。」


とこんな感じでした。。

確かに、特に都市部では、その土地の昔ながらのお雑煮を守り続けていくのは難しいです。
時代が変われば、その時代にあった食べ物に変化していくのは当然です。

「おしまい」になったのではなく、新しい風習に「生まれ変わった。」と考えるべきなのかなと思っています。

ただやっぱり、僕は、昔ながらのお雑煮を聞きたいと思ってしまいます・・・。


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